2014年06月22日

「愛さなくていいから」の意味。

テレビで「真夏の方程式」を放送してたので観た。
以下は個人的な考察の覚え書きで、ネタバレ注意です。


前作「容疑者Ⅹの献身」を思い出し、エンドロールに流れる主題歌が頭に流れてきて、
観たとき、歌詞が、石神の心をそのまま表しているように感じてた。
♪愛さなくていいから 遠くで見守ってて  ~繋がってたいんだよ
♪愛せなくていいから ここから見守ってる  ~繋がってたいんだよ

ただ、石神と花岡は相思相愛ではない。石神の一方的な想い。だからこそ「献身」なんだけど。

なので、何で「遠くで見守ってて」なんだろう、「愛さなくていい 忘れてくれていい」だったら解るのに、あーでも「繋がってたい」からかー。と思ってた。
最後は石神の「献身」に花岡が応えたように見えてた。愛じゃなくても、罪悪感からでも。

でも、そうじゃないかもって。
自分のすべてを犠牲にしても、たった一縷の繋がりでもいいから持ちたかった石神に対して、
私がやりましたと真実を明るみにし、自分自身で罪を償うことで、彼の「献身」を受け入れないことで、石神の想いに「応えなかった」んじゃないか、と。
大きな大きな犠牲を払っても、彼女との一筋の繋がりを求めた男の孤独も一途さも、
それは重荷すぎて、背負うことはできません、と繋がりを断ち切った女の葛藤も、泣ける。
彼を愛せたなら、その重荷も背負うことができるのに。感謝はしてる。でも愛せない。

みもふたもなく言っちゃえば、石神と一生繋がるくらいなら、重い罪でも償う方がまだいい、だったんだろうか。
「愛さなくていいから 遠くで見守ってて」の答えは「できません」
「愛せなくていいから ここから見守ってる」の答えは「やめてください」
残酷で哀しいなあ。でも、どうしようもないんだよね。ムリに愛すことなんてできない。

そうすると、地味で冴えない男であることに、意味がある。こんなカッコいい男にここまで想われたら誰だって惚れちゃうよ、っていう男だったら、この「ドラマ」は生まれないわけだから。

あの「ごめんなさい、ごめんなさい」は、
せっかくのあなたの、私たちを守ろうとしてくれた想いを無にしてしまってごめんなさい、巻き込んでしまってごめんなさい、罪の意識に耐えられない弱さにごめんなさい、のように見えて、
あなたの想いには応えられません、ごめんなさい、だったのかな。

あの「どうして」は、
そのまま何食わぬ顔でいれば変わらず暮していけたものをどうして、完璧なはずの計画さえ破綻させてしまう人の心の動きというものに、理解できないどうして、幸せでいてほしい一心だったのにどうしてそうあってくれないのか、あともしかすると、どうして俺なんかのために、のどうして。
でも、どうして受け入れてくれないんだ、のどうして、もあったのかもしれない。

主題歌は、全部聴けば、別に石神の気持ちを表すための歌じゃないんだけど、
泣ける切ない歌に聴かせといて、サビのあの歌詞で、純粋さと、その裏の押し付けがましさを感じさせるのが、計算のうちだとしたらすごい。


そう考えると、「真夏の方程式」は対照的だ。
前作が「あなたと共に重荷を背負うことはできない。愛していないから」なら、
今作は、誰もが「あなたの罪の共犯者になろう。あなたの罪と苦しみを引き受けよう。愛しているから」だ。

どうして甥っ子巻き込むんだよ、とは思ったけど。
好奇心旺盛で賢く、将来科学の道にすすみそうなあの子にとっての、あの夏は、
知らずとも重い罪に加担してしまった苦しみの始まりと、
自分を取り巻く世界のおもしろさと自分自身の素養に気付き、将来へつながる道への第一歩かもしれない。
苦しみと、喜びの、両方を与えられ、知り始めた夏。
身内から与えられた苦しみと、他人から教えられた喜びと、でもきっと大人になるにつれ、彼の苦しみに苦しみ、彼を救おうと手を差し伸べる身内と、喜びをただそのままに生きてはいけない他人=社会との関係を知っていく。
人生は複雑に絡み合う織色だ。

もしも、そういう子じゃなかったら、自分がしてしまったことの意味にも気付かずにいられたのに。
おじさんも、何も気付かないだろうと思ったから、手伝わせたんだろうし。
でも、そういう子だったから、湯川との関わりができた。
今回、湯川先生が物理学者である理由は、謎解きのためではなく、あの子の未来の道しるべになるためだったかな、と。

誰かが言ってたけど、晩夏が似合う、
ふと、返らない子供の頃の、夏休みが胸をよぎって切ないような、
少年の、ひと夏の、でも人生を変えるきっかけとなったある夏の、ドラマでした。
posted by see-co at 08:16| 日記 | 更新情報をチェックする